退職代行と残業代請求を同時に行いたい人が急増中
「会社を辞めたいけれど、未払いの残業代も取り返したい」——そんな悩みを抱えている方は少なくありません。退職を切り出せないストレスに加え、長時間労働に見合わない給与への不満が重なると、退職代行サービスと残業代請求を同時に進めたいと考えるのは自然なことです。
結論から言えば、退職代行と残業代請求は同時に進めることが可能です。ただし、依頼先の選び方を間違えると残業代請求ができなかったり、回収額が大幅に減ったりするリスクがあります。本記事では、同時に進めるための具体的な手順・依頼先の違い・注意点をわかりやすく解説します。
退職代行と残業代請求を「同時に」できる理由
退職代行は「退職の意思を会社に伝える」サービスであり、残業代請求は「未払い賃金の支払いを会社に求める」法的手続きです。この2つは目的が異なるものの、いずれも在職中または退職前後に行える手続きであるため、タイミングを合わせて同時並行で進められます。
ポイントは以下のとおりです。
- 退職の意思表示と残業代請求は法的に別の行為であり、同時に行うことに法律上の制限はない
- 退職と同時に請求することで、会社側との交渉を一括で進められるため効率が良い
- 退職後でも残業代請求は可能だが、消滅時効(3年)があるため、早めの対応が重要
ただし「誰が」残業代請求を行うかが極めて重要です。次のセクションで依頼先ごとの違いを詳しく見ていきましょう。
依頼先は3種類|残業代請求の可否が大きく変わる
退職代行サービスは運営元によって対応範囲が異なります。残業代請求を同時に行いたい場合、依頼先の選択が成否を左右する最大のポイントです。
| 運営元 | 退職の意思伝達 | 会社との交渉 | 残業代請求 | 訴訟対応 | 費用相場 |
|---|---|---|---|---|---|
| 民間企業 | ◯ | ✕(非弁行為) | ✕ | ✕ | 2万〜3万円 |
| 労働組合 | ◯ | ◯(団体交渉権) | △(交渉のみ) | ✕ | 2.5万〜5万円 |
| 弁護士・弁護士法人 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | 5万〜10万円+成功報酬 |
民間企業の退職代行
最も手軽で低価格ですが、退職の意思を「伝えるだけ」が業務範囲です。残業代の請求や会社との金銭交渉を行うと弁護士法違反(非弁行為)に該当するため、残業代請求は一切できません。別途弁護士に依頼する必要があり、二重にコストがかかる恐れがあります。
労働組合の退職代行
労働組合には団体交渉権があるため、退職条件や未払い賃金について会社と交渉できます。ただし、交渉が決裂した場合に訴訟や労働審判を代理する権限がないため、強硬に拒否する会社に対しては回収が難航する場合があります。
弁護士・弁護士法人の退職代行
残業代請求を同時に行うなら弁護士が運営する退職代行が最も確実です。退職手続きから未払い残業代の計算・請求・交渉・訴訟まで一貫して対応できます。費用は高めですが、成功報酬制を採用している事務所も多く、回収額が大きい場合はコストパフォーマンスが高くなります。
退職代行×残業代請求を同時に進める具体的な手順
弁護士に依頼する場合を例に、実際の流れを解説します。
- 無料相談・見積もり
まずは弁護士事務所に相談します。未払い残業代の概算額、退職代行の費用、成功報酬の割合などを確認しましょう。多くの事務所が電話・LINE・メールでの無料相談に対応しています。 - 証拠の収集・整理
残業代請求を成功させるには証拠が不可欠です。以下の資料をできる限り集めておきましょう。- タイムカード・勤怠記録のコピーやスクリーンショット
- 給与明細・源泉徴収票
- 雇用契約書・就業規則
- 業務メール・チャットの送受信時刻の記録
- PCのログイン・ログオフ記録
- 日報や業務日誌
- 委任契約の締結
弁護士と委任契約を結びます。退職代行と残業代請求の両方を含む契約にすることで、ワンストップで対応してもらえます。 - 退職の意思表示+残業代請求の通知
弁護士が会社に対して退職届の提出と未払い残業代の請求書を同時に送付します。この段階から依頼者は会社と直接やり取りする必要がなくなります。 - 交渉・合意
会社が請求内容に応じれば、和解合意書を締結して残業代が支払われます。交渉が難航する場合は労働審判や訴訟へ移行します。 - 残業代の回収・精算
未払い残業代が入金されたら、成功報酬と実費を差し引いた金額が依頼者に支払われます。
残業代請求の成功率を高める5つのコツ
同時に進めるからこそ押さえておきたいポイントを紹介します。
- 在職中に証拠を確保する:退職後はタイムカードや社内システムにアクセスできなくなります。退職を決意したら、在職中にできる限り証拠をコピー・撮影しておきましょう。
- 固定残業代(みなし残業)の適法性を確認する:会社が「固定残業代を支払っている」と主張しても、就業規則や雇用契約書に適切な記載がなければ無効と判断されるケースがあります。
- 管理監督者の該当性を確認する:「管理職だから残業代は出ない」と言われていても、実態が伴わない「名ばかり管理職」であれば残業代を請求できます。
- 時効に注意する:残業代の消滅時効は賃金支払日から3年です(2020年4月1日以降に発生した賃金)。古い未払い分は時効で請求できなくなるため、早めの行動が重要です。
- 付加金の請求を視野に入れる:裁判で悪質な未払いが認められると、未払い額と同額の付加金(最大で未払い額の2倍)の支払いを命じられる可能性があります。弁護士と戦略を相談しましょう。
同時に進める場合の費用とコストシミュレーション
実際にどの程度の費用がかかり、手元にいくら残るのかをシミュレーションで確認しましょう。
| 項目 | 金額の目安 |
|---|---|
| 退職代行費用(弁護士) | 5万〜10万円 |
| 残業代請求の着手金 | 0円〜10万円(無料の事務所も多い) |
| 成功報酬 | 回収額の20〜30% |
| 実費(内容証明郵便代・印紙代等) | 数千円〜数万円 |
シミュレーション例
未払い残業代が150万円あるケースで計算してみます。
- 退職代行費用:5万円
- 着手金:0円(成功報酬制の事務所)
- 成功報酬(25%):37.5万円
- 実費:約1万円
- 手元に残る金額:約106.5万円
民間の退職代行(3万円)を利用して別途弁護士に残業代請求を依頼する場合、退職代行費用+弁護士費用の合計が高くなる可能性があります。最初から弁護士に一括依頼する方がトータルコストを抑えやすいのが一般的です。
退職代行×残業代請求でよくある失敗と注意点
スムーズに進めるために、以下の失敗パターンを把握しておきましょう。
- 民間業者に残業代交渉を頼んでしまう:非弁行為に該当し、交渉自体が無効になるリスクがあります。依頼前に運営元の種類を必ず確認してください。
- 証拠を一切持たずに退職してしまう:証拠がなければ、そもそも残業代の金額を立証できません。退職前の証拠確保は最優先事項です。
- 有給消化の交渉を忘れる:残業代と同時に、未消化の有給休暇の取得も弁護士に交渉してもらいましょう。退職日までの有給消化で実質的な収入を確保できます。
- 離職票・源泉徴収票の受け取りを忘れる:退職後の失業保険申請や確定申告に必要な書類です。退職代行の依頼時にあわせて書類の送付を依頼しておきましょう。
- 退職金の減額・不支給を安易に受け入れる:会社側が「退職代行を使ったから退職金は出さない」と主張するケースがありますが、就業規則に支給要件が定められていれば、退職代行の利用を理由に不支給とすることは原則認められません。
まとめ|退職代行と残業代請求は弁護士への一括依頼が最善策
退職代行と残業代請求を同時に進めることは法律上まったく問題なく、むしろ効率的な方法です。重要なポイントを改めて整理します。
- 残業代請求を同時に行うなら弁護士が運営する退職代行サービスを選ぶ
- 在職中にタイムカード・給与明細などの証拠を確保しておく
- 残業代の消滅時効は3年。先延ばしにするほど請求できる金額が減る
- 成功報酬制の事務所を選べば、初期費用を抑えながら未払い残業代を回収できる
- 有給消化・退職金・離職票など退職に伴う権利も同時に交渉してもらう
未払い残業代は、あなたが正当に受け取るべき対価です。退職と同時にしっかり回収するために、まずは弁護士の無料相談を活用して、具体的な見通しを確認してみましょう。
よくある質問(FAQ)
退職代行と残業代請求は本当に同時にできますか?
はい、退職の意思表示と残業代請求は法的に別の手続きであり、同時に進めることが可能です。ただし、残業代請求の交渉・訴訟ができるのは弁護士または労働組合に限られます。民間の退職代行業者では残業代の交渉はできません。
民間の退職代行業者に残業代請求を頼むとどうなりますか?
民間業者が残業代の交渉を行うと弁護士法違反(非弁行為)に該当します。交渉自体が無効となるリスクがあるだけでなく、業者が処罰される可能性もあるため、残業代請求は弁護士に依頼してください。
残業代請求に必要な証拠にはどのようなものがありますか?
タイムカード・勤怠記録、給与明細、雇用契約書、就業規則、業務メールの送受信時刻記録、PCのログイン・ログオフ記録、日報などが代表的な証拠です。在職中にコピーやスクリーンショットを取っておくことが重要です。
残業代請求の時効はどのくらいですか?
2020年4月1日以降に発生した賃金については、賃金支払日から3年で消滅時効が成立します。時効が過ぎた分は請求できなくなるため、早めに行動することをおすすめします。
退職代行と残業代請求を弁護士に同時依頼した場合の費用はどのくらいですか?
退職代行費用が5万〜10万円、残業代請求の成功報酬が回収額の20〜30%が一般的な目安です。着手金無料の事務所も多いため、まずは無料相談で具体的な費用を確認するとよいでしょう。
退職代行を使ったことで残業代請求に不利になることはありますか?
退職代行の利用が残業代請求に不利に働くことは基本的にありません。残業代は労働基準法に基づく権利であり、退職の方法とは無関係に請求できます。
残業代請求と一緒に有給消化や退職金の交渉もできますか?
弁護士に依頼すれば、未払い残業代の請求に加え、有給休暇の消化交渉や退職金の支払い交渉も同時に行うことが可能です。退職に伴う権利をまとめて交渉してもらうのが効率的です。

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